AIモデルの精度を向上するために、高精度なアノテーションは不可欠です。
しかし実際のAI開発においては膨大な画像データを扱うため、高精度なアノテーションを自社のリソースだけで行うのが難しいということもしばしばあります。かといって大事なデータのアノテーションを外注するのは、品質やセキュリティの観点から不安がある、と感じられている企業様も多いのではないでしょうか。
今回は、矢崎総業株式会社 執行役員 AI・デジタル室長兼 情報システム統轄室長の丹下 博氏、AI・デジタル室DX事業推進部 アノテーションサービス事業責任者の鎌田 太郎氏に、「矢崎の画像アノテーションサービス」のこだわりを伺いました。
80年の歴史が支える「矢崎総業のこだわり」
――本日はよろしくお願いします。早速ですが、貴社の成り立ちや事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
執行役員 AI・デジタル室長 兼 情報システム統轄室長 丹下博氏
――丹下氏
矢崎グループは、主に自動車用電線(ワイヤーハーネス)を製造・販売するメーカーとして発足しました。
現在では、ワイヤーハーネスを中心とする自動車部品や電線に加え、計装機器、ガス機器、空調・太陽熱利用機器など、幅広い製品を手掛ける企業に成長しています。
――ありがとうございます。AI・デジタル室とはどのような組織でしょうか?
――丹下氏
矢崎グループでは、自動車の走行データや工場の稼働データをはじめ、潜在価値の高いデータを有しています。
AI・デジタル室はこれらのビッグデータとAI技術を活用し、社内外に新たな価値を生み出すために立ち上げた組織です。
――自動車部品メーカーである貴社が、アノテーションサービスを開始した経緯を教えてください。
――丹下氏
矢崎グループが持つ大量のデータとAIの活用を推進する過程の中で、AI開発においてアノテーションのようなデータの前処理が極めて重要であることを実感しました。
また弊社だけでなく製造業を含む多くの企業においても、エンジニアの貴重な時間をアノテーションに割いていることや、ミスラベルなどアノテーションの品質に関わる問題があることが共通の課題であると分かりました。
このような背景の中、グローバルに展開する矢崎グループのリソースを活用することで、アノテーションにおける業界の課題を解決できると考えました。
矢崎グループの社員と、実際にAI開発を行っている実践的な知見を組み合わせることで、AI開発の現場のニーズを理解した、品質の高いアノテーションサービスを提供することが可能となりました。
プロの社員×全量検査により高品質なアノテーションを提供する「矢崎の画像アノテーションサービス」
――ありがとうございます。貴社のアノテーションサービスの特徴についてお聞かせください。
AI・デジタル室DX事業推進部 アノテーション事業責任者 鎌田太郎氏
――鎌田氏
AIモデルの質とアノテーションの質は、両輪だと考えています。
AIモデルばかりに着目されがちですが、質の高い教師データこそがAIを開発するための核であると考えています。
弊社は自動車部品という「人の命」に関わる重大な製品を作るにあたり、品質に徹底的にこだわりを持ってきました。
例えばワイヤーハーネスは、製造工程の全自動化が難しい製品であるため、現在も職人が手作業で製造している工程があります。また、「自動車の神経・血管」にも例えられ、不具合の許されない高度な品質管理が求められます。
弊社はそうした集中力が必要な細かい作業を確実に行うことができる人材の育成及びマネジメントに自信を持っています。
一般的なアノテーションサービスでは経験の浅いクラウドワーカーやアルバイトを活用することが多いですが、矢崎の画像アノテーションサービスでは、十分なトレーニングを受けた社員がアノテーションを行っています。
自動車部品の製造で培ったノウハウを活かし、独自のトレーニングを積んでいるため、高い品質のアノテーションを提供できることが大きな特徴です。
――鎌田氏
また、アノテーションを外注した場合、その検収作業に多くの工数が必要なケースがあります。アノテーション後の検査体制として一般的には抜き打ち検査が多い中、弊社では全量検査を実施しています。納品後の検収作業ができる限り少なく済むように努めていることも、お客様から高い評価をいただいています。
高難易度な案件において、社員によるアノテーションが活きる
――最近では、自動アノテーションツールを活用したサービスも増えているかと思いますが、人の手で行うメリットについてお聞かせください。
――鎌田氏
おっしゃるとおり、自動アノテーションツールの進化も我々は認識しています。しかし、AI開発の内容によっては、精度面で大きな違いがあると考えております。
例えば、道路写真に映る歩行者に対してバウンディングボックスを付与する(画像内の歩行者を四角い枠で囲む)ようなシンプルな作業であれば、自動アノテーションツールでもアノテーションが実施できます。
一方で、「自社の特定の部材の図面画像」「僅かな地形の差を区別する必要がある衛星画像」「様々な形状がある農作物の画像」といったケースでは、最初から人の手で正確にアノテーションを実施した方が、より効率的に高い精度のAIモデルが得られることが多いです。
衛星画像のアノテーションイメージ
矢崎の社員によるアノテーションで高品質×低コストを両立
――人手と自動ツール、それぞれメリットがあるということですね。先程「精度の高いAIを実現するための核」とありました。品質と価格はトレードオフのように感じますがいかがでしょうか。
――鎌田氏
矢崎の画像アノテーションサービスは、品質にこだわりつつも、矢崎グループの海外拠点の既存事業のリソースを活用することで、高品質なアノテーションを低価格で提供することが可能です。
80年の歴史の中で培ってきた現地での採用ネットワーク、品質管理の技術、品質を維持するための人材育成のノウハウがあり、同じ社内文化・マインドを持ったプロのアノテーターが世界各国に所属しています。
加えて、弊社の営業はアノテーションに関する専門知識を持っているメンバーが担当します。そのため、商談の初期段階から具体的な要件のすり合わせを実施し、認識のズレや手戻りを減らすことで、品質を維持しながら早い納品を実現する効果的な提案を行うことができます。
自動車部品メーカーだから安心できるセキュリティ管理体制
――質の高さと価格を両立している点は大きな魅力ですね。アノテーションを外注するとなると、セキュリティ面に不安を持たれる企業様も少なくないかと思います。貴社で取り組んでいる対策はございますか。
――鎌田氏
セキュリティ面での取り組みとして、アノテーションの作業を自社社員が、自動車業界水準のセキュリティをクリアした共同作業スペースかつ専用PCで行っています。
業界内ではクラウドワーカーやアルバイトがアノテーションを行う事例も増えていますが、在宅かつスマホなどの個人端末で行うアノテーションと比較し、弊社のセキュリティ管理体制は厳重だと自負しています。
共同作業スペースでの実際の作業の様子
難しい要件でも高品質なデータづくりをプロが伴走
――ありがとうございます。手厚いフォローアップも大きな魅力かと思いますが、改めてどのような企業におすすめのサービスなのか教えて下さい。
――鎌田氏
既に検討されているAI開発の案件についての画像アノテーションのご相談はもちろん、要件がまだ定まっていない企業様に対しても、要件定義の段階からサポートします。
また、無償トライアルを通じて実際にサービスを体感していただくことで、アノテーションを外注する利点や弊社サービスの質の高さを実感していただけると考えています。
大企業だけでなく中小企業のお客様にもおすすめのサービスですので、画像や映像のアノテーションをご検討の際はぜひ無償トライアルをご検討ください。
――無償トライアルでも十分手厚いサポート内容ですね。最後にアノテーションでお悩みの方に向けてメッセージをお願いします。
―――丹下氏
「料理は素材が9割」と言われるように、AI開発においても素材の質は非常に重要です。
良質なデータがなければ、高精度のAIを開発することは困難ですが、いざ開発が始まると、しばしばモデルの性能ばかりに焦点をあわせてしまい、アノテーションがおざなりにされることも少なくありません。
弊社のアノテーションサービスは、データ作成の要件定義からサポートしますので、AIモデルの精度でお困りの方はお気軽にご相談ください。
――AI開発においても「AIはデータが9割」と言えそうですね。鎌田様からもメッセージをお願いします。
――鎌田氏
改めて申し上げますが、弊社のアノテーションサービスは、プロのアノテーターによる高精度な作業と、矢崎グループのノウハウとリソースを活用した品質と対応力が特徴です。
価格重視で選定した他社に依頼して品質問題があったデータについて、アノテーションをやり直す「仕切り直し」の依頼も多く受けており、品質や対応力を期待していただいています。
要件が複雑な案件、仕切り直しが必要な案件、納期が迫っている案件などもぜひお声かけください!
――本日は貴重なお話をたくさんお聞かせいただき、ありがとうございました。
インタビューを通じて、業界全体が持っている多くのAI開発企業が直面する「アノテーションの精度とリソースの制約」という課題を解決したいという熱い気持ちを受け取りました。
矢崎総業株式会社の手がける画像アノテーションサービスは、予算・納期に合わせた柔軟な対応が可能です。
「このような画像をアノテーションしたい」といった企業様はもちろん、「一度アノテーションを行ったが手戻りしてしまった」「要件定義の段階から相談したい」といった悩みをお持ちの方は、無償トライアルから始めてみてはいかがでしょうか。
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