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アノテーションとは?意味やAI機械学習に欠かせない作業の種類を解説
アノテーションとは
アノテーションとは、AIに学習させるデータにタグ付け(意味づけ)を行う作業のことを指します。画像や動画、テキストなどのデータ内にある情報に対してタグを付けていき、AIが学習できるように意味のあるタグを付けるのです。たとえば、犬の画像を用意しただけでは、AIが画像を見て犬を識別できるようになりません。
そこで、画像内にいる犬の領域にタグ付けを行い、「犬である」と答えを示します。こうしてアノテーションしたデータを大量にAIに見せることで、AIが徐々に犬を覚えていき、別の新しい画像を見て犬を識別できるようになるのです。
アノテーションの必要性
アノテーションの実施は、実用的なAIを生み出すために欠かせません。先述した犬の画像と「犬である」との答えをセットにしたデータを、「教師データ」と呼びます。つまりアノテーションは、AIに学ばせる教師データを作る作業だといえます。
AIは教師データを大量に確認することで、その中からパターンやルールを見つけて判断・予測の精度を高めていきます。そのためアノテーションをしてより多くの教師データを作成すれば、それだけ高品質なAIを生み出すことが可能です。高品質なAIであれば、人間がこれまで行ってきた作業の一部を任せることもできます。
AIは疲れることなく常に一定の精度で作業を行うため、人間の作業を効率化させるうえにミスの削減にも繋がるでしょう。信頼できるAIを作り出すためには、アノテーション作業が不可欠だといえます。
物体検出のアノテーションとは
物体検出のアノテーションとは、動画や画像内の物体を検出してラベルを付けることです。人間が人や車などを見て「人だ」「車だ」と判断できるように、物体検出のアノテーションをすることでコンピューターでも同様の判断を行えるようになります。
物体検出のアノテーションを行なう目的
物体検出のアノテーションを行う目的は、AIに求めることさまざまです。たとえば、以下のような目的が挙げられます。
【考えられる目的】
- 業務効率化
- AIモデルの精度向上
- コスト削減
たとえば、物体検出のアノテーションを行ったカメラを活用することで、工場における検品作業を担当させられます。コンピューターに代行させると人間の作業負担が減るだけでなく、人件費の削減につながる可能性もあります。
また、自動運転システムに導入するのであれば、高い精度を持ったAIが求められます。このように、AIを使用する現場や目的により、物体検出をどの程度の精度で行わせるべきか判断するのが大切です。
物体検出の主な手法
物体検出の主な手法としては、以下の4種類が挙げられます。
- R-CNN
- YOLO
- SSD
- DETR
ここでは、上記それぞれについて解説します。
R-CNN
ディープラーニングを活用した物体検出がされるようになった初期から行われている方法です。以下の流れで、物体検出を行います。
【主な流れ】
- 画像を入力
- 画像中から物体の領域候補(約2,000個)を抽出する
- CNNを使用して候補の特徴を捉える
- 各領域に何が写っているか判別する
ディープラーニングを取り入れることで、それまでの方法よりも高い精度で物体検出ができるようになったとされています。ただし学習の手間が非常にかかり、メモリの消費が大きくなりやすい点などが問題とされてきました。そのため現在では、「Faster CNN」などさまざまな方法が生み出され、かかる時間やメモリの消費量を削減しています。
YOLO
「You Only Look Once(一度だけ見れば良い)」の頭文字を取った、高速処理ができることで知られる方法です。
ニューラルネットワークを活用することで、複数の工程を経て検知しなくてはならなかったそれまでの方法と比較して迅速にタスクを進められるようになりました。YOLOでは、検知対象の画像を正方形にしてさらに細かく分割することで、ニューラルネットワークを活用した分析を可能としています。
Faster R-CNNと比較して判別精度は低くなりますが、画像の全範囲を使って学習することから背景の誤検出を避けやすい点も特徴的です。現在も研究・開発が進められており、最新バージョンは比較的扱いやすいことで知られるPythonで動作させられます。
SSD
「Single Shot MultiBox Detector」の頭文字を取った、精度・処理速度共に高レベルを期待できる方法です。
YOLOと同様に1つのネットワークで候補の検出・クラス分類を行います(「1ステージ系」と呼びます)ため、高速での処理を行えます。そしてさらに検出した候補に対して複数サイズの領域でボックスを作ることから、YOLOよりも高精度で検出できることで知られています。
具体的な実装の流れは、以下の通りです。
【基本的な流れ】
- 教師データのダウンロード
- データセット(特定の目的に合わせて収集・整理された一式のデータ)の作成
- データローダー(データセットをいくつかの固まりに小分けして格納したもの)の作成
- SSDモデルの作成
- 損失関数の定義・最適化手法の設定
- 学習・検証の実行
- テストデータの推論
DETR
「End-to-End Object Detection with Transformers」の頭文字を取った名称であり、候補の検出方法に「Transformars」と呼ばれる機械学習モデルを合わせた方法です。
入力データの注目ポイントを指示するだけで、アノテーションをせずにAIが学習する機構を導入しています。DETRの構成は、以下の3つです。
【構成】
- Backbone:入力画像をCNNによって低次元にエンコード
- Transformer:抽出した特徴量を注意機構によって種類・位置の情報に変換し、事前に決められた個数の物体を予測する
- FFN:Transformerにおける出力情報を物体の位置座標やクラスラベルに戻す
上記の通り複雑な処理をしているわけではありませんが、精度の高い処理を期待できます。
物体検出のアノテーションでできること
物体検出のアノテーションによって、以下のようなことができます。
【できること】
- 製品の異常・不良検知
- 防犯カメラによる不審者・異常物の検知
- 自動運転
AIが組み合わさることで、幅広い分野で活躍するのが可能です。
製品の異常・不良検知
物体検出のアノテーションに期待できることとしてまず挙げられるのが、製品の異常・不良検知です。
製品の見本である「限度見本」を使用した品質判定を人間が行うには、見極める目を持った熟練作業員が求められます。しかし、近年では高齢化や人材不足から、検品を担当できる作業員を確保するのが困難です。
そこでAIによる物体検知を導入し、労働力不足を補完しています。AIであれば、人間のように熟練度によって判断精度がばらつくことがありません。熟練者の勘に頼るようなこともなくなり、常に一定の品質で検知工程を進められるでしょう。
防犯カメラによる不審者・異常物の検知
防犯の分野でも、AIは活躍しています。映像内の不審者・侵入者や異常物を検知し、対象物を追跡して行動の解析を行うことも可能です。活用することで、対象の画像間における移動の軌跡を推定できるようになります。
物体追跡(オブジェクトトラッキング)と呼ばれる上記の技術は、防犯だけでなくスポーツ中継やその他の分野でも活用できます。さらに店内の来客数や各顧客の動向などをリアルタイムでチェックでき、近年注目されているソーシャルディスタンスの確保にも応用が可能です。
自動運転
物体検出の技術が使われている分野としては、近年急速に研究・開発が進められている自動運転も外せません。車載のカメラを使用して周辺の状況を撮影し、人物や車障害物などを判別します。周辺の状況を踏まえて判断し、人に変わってその時取るべき運転行為を取ることが可能です。
適切な運転を即座に判断して行うためには、高品質のAIが求められます。近年ではシステムによる監視で動く条件付き自動運転車の開発も進められており、、今後益々研究が進められると予想される分野です。
物体検出のアノテーションツール
物体検出のアノテーションツールとして、ここでは「VoTT」を紹介します。VoTTは、Microsoftが提供しているオープンソース(無料で利用できる)ツールです。Windowsだけでなく、MacやLinuxとマルチプラットフォームで利用できる点が魅力的だといえます。
操作性が高くマウス操作で扱えるため、専門知識を持っていない人でも比較的容易にタグ付けが可能です。動画や画像に対してタグ付けができ、トラッキング機能があるため特に動画においては使いやすいといえます。初心者の方が効率よくアノテーションを行うためには、非常におすすめできるツールでもあります。
まとめ
物体検出のアノテーションを行ったAIを導入することで、さまざまな分野における業務効率化やコスト削減などさまざまな目的を達成できます。製品の異常・不良検知や不審者・異常物の検知など、幅広い活用方法が考えられます。また、自動運転のように、近年注目を集めている分野での活用も積極的に行われています。
VoTTであれば初心者の方でも比較的容易に作業を進められるため、ぜひともお試しください。
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